『REBOOT』はチームメイトの特徴を把握したコーチングとサッカーセンスを持つ徳川邦光が主人公のサッカーマンガだ。
ある問題によってサッカーを離れていた邦光が再びサッカーに向き合い、ひたむきに努力する姿に胸が熱くなる。
この記事では、根建飛鳥『REBOOT』を紹介する。
目次
『REBOOT』の主な登場人物
邦光 (徳川 邦光)
- 東条高校 1年
- ポジション:MF
技術の高い中盤のハードワーカー。
常に他人を思いやるやさしさを持つ。
アキラ (泉谷 晃)
- 東条高校 1年
- ポジション:FW
抜群のスピードを持つストライカー。
普段は声が小さく、試合前に緊張で震えてしまう弱気な性格だが、ピッチに入ると豹変する。
『REBOOT』のあらすじ(ネタバレなし)
小学生の大会である全日本少年サッカー大会3位決定戦で途中出場のチャンスを得た主人公・徳川邦光と泉谷晃。
劣勢だったチームは、邦光の技術とコーチング、晃のスピードによってチームは息を吹き返し、逆転勝利をつかんだ。
それから5年、東条高校のグラウンドでは晃が邦光の胸ぐらをつかんで怒鳴りつけていた。
晃は邦光が起こした事件によって中学時代にサッカーが出来なくなったことを怒り、邦光がサッカー部に入ることを認めないと言い放つ。
それでも邦光にはどうしても東条高校のサッカー部でサッカーをしなければならない理由があった。
ここから先は作品の結末に言及している。未見の方はご注意願う。
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『REBOOT』の感想(ネタバレあり)
自分自身と戦い、仲間を想う邦光
邦光は中学時代のブランクで技術と体力が落ちているが、それをカバーするため練習に打ち込む。
それも誰かに勝つためではなく、自分自身を超えるために努力する。
自分の課題に真摯に向き合う姿は、徐々にチームメイトの気持ちを変えていく。
また邦光はチームメイトの事も大切にしている。
同じポジションのライバルである美浦が精彩を欠き、邦光が交代で試合に出場したときも、美浦のために次に繋げると言っていた。
邦光にとってポジションを奪う格好のチャンスですが、自分のためよりもチームメイトの事を考えている邦光はサッカー選手の手本と言ってもいいほどだ。
邦光の影響を受けて進化する選手たち
チームメイトが壁にぶつかったとき、邦光はまっすぐな言葉とプレーでフォローする。
特に晃の台頭で、FWからサイドMFにコンバートされた鉄さんに新しいポジションが向いていることを的確に指摘する場面は私が好きなシーンだ。
FWはエゴが強い。鉄さんもFWからコンバートされたことに不満を持っていた。
邦光は鉄さんの不満を理解したうえで、鉄さんがサイドMFで活きる理由を伝える。
そして、邦光の姿勢を見てきた鉄さんはアドバイスを受け入れ、新しいポジションで躍動する姿を見せてくれた。
それ以外にも自分を見失って傍若無人に振る舞う美浦に、自分がやりたかったサッカーを思い出させるなど、邦光の行動は先輩たちをも動かす。
邦光は先輩たちのプレーを見るなかで、選手それぞれの特徴を理解して活かそうと考え、それぞれにあった方法でアドバイスを送っている。
そのアドバイスを受け止めたチームメイトも純粋に勝利を目指し、自分が思い描いていたサッカーをみんなで実現させようとする。
選手それぞれの成長を感じる最終巻では、チームの成長に思わず涙腺がゆるんでしまう。
邦光と晃のコンビ
1巻の冒頭では小学生の邦光と晃のコンビが大暴れするが、高校時代になるとギスギスとした関係になる。
晃は中学時代に邦光が起こした事件の影響でサッカー部が無期限の停部になったことを恨んでいて、邦光が最高のパスの出し手だと分かっていても気持ちに折り合いをつけることができない。
それでも邦光は諦めず、晃と最高のプレーをすることに願う。
最後の試合で2人が見せたコンビネーション。
そして邦光が起こした事件の真相。2人の涙。
邦光の気持ちがほどかれるときは、私もほっこりしました。
サッカー好きがニヤリとするレプリカたち
『REBOOT』の小ネタとも言えるのが、選手たちの練習着。
試合ではもちろん高校のユニフォームだが、練習ではいろいろなユニフォームを着ている。
ユベントスだったり、
ケルンだったり、
各々が着ているユニフォームを見ながらニヤニヤするサッカーファンも多いはずだ。
おわりに
この記事で紹介した『REBOOT』は表紙に出てくる選手たちのチャラさ、サッカーファンには受け付けられなかったかもしれない。
しかし、『REBOOT』はまっすぐな気持ちを持った青年がチームメイトを助けながら、勝利を目指す熱いサッカーマンガだ。
最終巻の根建先生のコメントを読むと打ち切られた感じもあるが、私はいつか『REBOOT』が「再起動」してくれる日を心待ちにしている。
根建飛鳥『REBOOT』(秋田書店)