【2024/1/10更新】
2022シーズンの鹿島アントラーズはリーグ5位、ルヴァンカップ準々決勝敗退、天皇杯は3回戦敗退とまたしても無冠だった。
昨シーズン途中から就任した岩政監督のもと「新たな鹿島」を築こうともがいた。序盤の連敗からサイドハーフが頑張る属人的なスタイルとなり、勝ち続けた時期もあったが、上位には尽く勝てず、チームは下降線をたどり、シーズンを終えた。
チームとしてどんなスタイルを目指すのかが定まらず、岩政監督に全振りするようなフロントが覚悟を決めて変わらない限り、この状況が変わるとは思えない。
この記事では2024シーズンに向けての鹿島アントラーズの選手動向をまとめた。
目次
GK ゴールキーパー
所属選手
GK 1 早川 友基
GK 29 梶川 裕嗣 ※IN:完全移籍(ジュビロ磐田)
GK 31 山田 大樹 ※IN:レンタルバック(ファジアーノ岡山)
GK 38 パク ウィジョン
完全移籍・引退
GK 1 クォン・スンテ ※引退
GK 31 沖 悠哉 ※完全移籍:清水エスパルス
ポイント
スンテの引退、出場機会を得たい沖は清水へ完全移籍
2023シーズンも正ゴールキーパーは早川だった。
岩政監督が就任してから継続して起用され、つなぎの部分やシュートストップでチームに貢献。来季もファーストチョイスになるだろう。
カップ戦が主になった沖は出場すればいいセーブを見せていたが、いかんせん結果がついてこなかった。天皇杯甲府戦でのPK戦を見るともっと試合で見たい選手ではあったが、早川を変えてまで起用するのは難しかった。2023年12月27日には清水への完全移籍が発表された。
スンテは今季をもって引退。鹿島の歴史に名を刻んだレジェンドであることは間違いない。絶対的な守護神であった曽ヶ端がいるなかで加入し、初のACL優勝をもたらしてくれた。今後もなんらかの形でクラブとつながりが続くよう願いたい。
ウィジョンは育成枠のような位置づけで4番手から変わらず。ファジアーノ岡山にレンタル移籍していた山田は序盤こそ先発で起用されたが、定位置をつかめなかった。
GKはスンテ、沖が抜けたところに山田が戻り、ジュビロ磐田から梶川を獲得。2024シーズンのGK体制はこれで確定だろう。
DF ディフェンダー
所属・加入選手
DF 2 安西 幸輝
DF 4 ヨシプ チャルシッチ ※IN:完全移籍(TSCバチュカ・トポラ/セルビア)
DF 5 関川 郁万
DF 16 須貝 英大
DF 28 溝口 修平
DF 32 濃野 公人 ※IN:関西学院大学
DF 39 津久井 佳祐
DF 42 松本 遥翔 ※ユース(2種登録)
DF 55 植田 直通
完全移籍・契約満了
DF 昌子 源 ※完全移籍:FC町田ゼルビア
DF キム・ミンテ ※完全移籍:湘南ベルマーレ
DF 広瀬 陸斗 ※完全移籍:ヴィッセル神戸
レンタル移籍(2024)
DF 林 尚輝 (東京ヴェルディ) ※レンタル延長
ポイント
センターバック:植田・関川の盤石コンビにチャルシッチが割り込む?
昌子、植田コンビが鹿島に帰還した。昌子はフランスから帰国後にプレイしたガンバ大阪でも全盛期のパフォーマンスは出せていなかったが、鹿島復帰後も状態は変わらず。チームへの声掛けなどリーダーとしての振る舞いは素晴らしいだけに、どんな相手でもボールを絡め取ってしまうあのプレーがもう一度見たいと思っていたが、町田への完全移籍が発表された。
今季は植田・関川のセンターバックコンビで戦い抜いた。成長を続ける関川は守備以外のパス出しや持ち運びなど少しずつ進化を見せていたが、シーズン終盤には故障もあり集中力がかける場面もあった。
植田の守備は盤石。長身とパワーを活かしてロングボールを跳ね返すのはもちろん、対面での粘り強さを見せた。一方でつなぎの部分はダメダメで作り直すべきところで苦し紛れのロングボールを蹴ったり、サイドバックにハメパスを入れまくったりと攻撃面での貢献は低かった。引いて構えるのであればベストなのだが……。
シーズン途中に湘南ベルマーレにレンタル移籍したキム・ミンテはそのまま完全移籍。林は東京ヴェルディへのレンタル延長となり、センターバックは植田・関川・津久井のみになってしまい、補強は必須と見られていた。新体制発表直前にセルビアのTSCバチュカ・トポラで活躍していたチャルシッチを獲得し、4人体勢となった。左利きのチャルシッチはフィードに特徴を持つ選手で、187cmとサイズも大きい。日本に順応できるかは未知数だが、活躍を期待したい。
右サイドバック:予想外だった広瀬の移籍。須貝と濃野のスタメン争いに
今季はつなぎを重視して広瀬をメインで起用。出場機会が限られた常本はシーズン途中にスイスへと旅立った。入れ替わりで甲府から加入した須貝はなかなかスタメンの機会がなかったが、リーグ戦最終盤ではスタメンとなった。
広瀬は守備で後手を踏むこともあったが、今年もスタメンではないかと思われていただけに突然のヴィッセル神戸への移籍には驚いた。須貝がJ1にフィットし、濃野も同じレベルでスタメンを争ってもらわないと厳しい。
2025シーズンにユースから昇格する松本(高2/U-17日本代表)を2種登録しており、人数的にはカバーできそうだ。
左サイドバック:安西一択の状況に溝口が割って入れるか
今季の左サイドバックは広瀬や溝口が出ることもあったが、安西がファーストチョイスだった。
守備対応で批判の的になることが多いが、昨季よりはコンディションも上がってきて、運動量とスピードを活かしてチャンスを生み出すシーンがあった。相手によって安西と溝口を使い分けられるといいのだが……。
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MF ミッドフィルダー
所属・加入選手
MF 8 土居 聖真
MF 10 柴崎 岳
MF 14 樋口 雄太
MF 15 藤井 智也
MF 25 佐野 海舟
MF 26 須藤 直輝
MF 27 松村 優太
MF 30 名古 新太郎
MF 33 仲間 隼斗
MF 34 舩橋 佑
MF 77 ギリェルメ パレジ ※IN:完全移籍(CAタジェレス/アルゼンチン)
レンタル移籍(2024)
MF 中村 亮太朗 (清水エスパルス)
MF 荒木 遼太郎 (FC東京)
MF 下田 栄祐 (いわきFC) ※2年レンタル(2023-2024シーズン)
完全移籍・契約満了
MF 17 アルトゥール カイキ ※完全移籍:スポルチ・レシフェ(ブラジル)
MF 21 ディエゴ ピトゥカ ※完全移籍:サントスFC(ブラジル)
MF 24 小川 優介 ※完全移籍:FC琉球
ポイント
ボランチ:ピトゥカの退団と今すぐにでも海外移籍しそうな佐野海舟
ピトゥカ&佐野のボランチコンビが盤石だった今季。ピトゥカはブラジルのサントスへ移籍。日本代表デビューを飾った佐野は試合ごとに成長を見せており、いつ海外移籍してもおかしくない。
復帰した柴崎は鋭い縦パスを供給できる選手だが、2人に比べて守備強度は低くなる。来季も樋口が残ってくれたとして柴崎&樋口では高さの面で不安が残る。船橋もなかなか戦力化されていない状況から見ても補強の必要性が高い。
サイドハーフ:樋口&仲間&名古のハードワーカー起用に変化はあるか?
今季は4連敗の後、ハードワークができて気が利く仲間や名古、樋口をサイドハーフに起用。名古が離脱すると仲間と樋口がファーストチョイスになった。
スピードが武器の藤井は序盤こそチャンスを得たが、失速。終盤には同じく速さのある松村が成長の跡を見せ、スタメン争いに加わった。直線的な藤井と曲線的な松村ではタイプが違うため、うまく共存できればいいのだが、そのためには藤井がプレーの幅を広げないと難しいだろう。
中央でプレイするのが得意な土居や荒木は出場機会がかなり限られた。なんでもそつなくこなせる土居と比べるとサイドでは良さが発揮できない荒木にとってかなり厳しい1年であり、昨季も同じような状況だったことを思うとFC東京へのレンタル移籍で環境を変えようと思ったのも理解できる(監督は相性が良さそうなポポビッチに変わったタイミングなのが残念だ)。
決定力の高さを見せていたカイキは怪我があったものの、出場機会は少なく契約満了となった。左サイドハーフでは安西と組むことになるが守備強度が下がるため使いにくく、トップに置くとしても垣田や知念がいるしと難しい状況だった。
FW フォワード
所属選手
FW 13 知念 慶
FW 36 師岡 柊生
FW 37 垣田 裕暉
FW 40 鈴木 優磨
FW 41 徳田 誉 ※ユース(2種登録)
レンタル移籍(2024)
FW 染野 唯月 (東京ヴェルディ) ※レンタル延長
完全移籍・契約満了
FW 19 エレケ ※契約満了
ポイント
鈴木優磨の相棒探しは続く
今季もFWの軸は鈴木だった。リーグ戦は14ゴールとチームを引っ張っていたが、いてほしいところにいないという問題はずっと改善されなかった。1番得点が取れる選手がサイドに流れてクロスを入れて樋口や仲間が飛び込んでくるのはどう考えても逆であるべきだ。
鈴木の相棒は知念と垣田に絞られたが、知念は怪我での離脱や鈴木とプレーエリアが被ったり、垣田はディフェンスラインを下げたり、起点を作ろうと奮闘していたりするが、どちらも確固たる地位は築けず。リーグ最終戦でスタメンを飾った師岡の常にゴールを意識したプレーが来季への唯一の希望だろうか……。今季ブレイクした湘南ベルマーレの大橋祐紀を狙っているとの報道もあるが、広島への移籍が発表された。2025シーズンにユースから昇格する徳田(高2/U-17日本代表)を2種登録しており、アカデミー育ちのFWが3人(鈴木、垣田、徳田)となった。若手に期待し、ここからの補強はないかもしれない。
レネ・ヴァイラー前監督の置き土産、エレケは契約満了でチームを離れる。正直、プレーを見てもなぜ取ったのか分からないので、ぜひヴァイラーに使い方を教えてほしい。
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スタッフ
主な所属スタッフ
監督 ランコ ポポヴィッチ
コーチ ミラン ミリッチ
コーチ 中後 雅喜
コーチ 鈴木 隆二
フィジカルアドバイザー 咲花 正弥
フィジカルコーチ 伊藤 亮輔
テクニカルスタッフ 有江 卓
GKコーチ 佐藤 洋平
GKアシスタントコーチ クォン スンテ
岩政監督は退任、後任はポポヴィッチ
岩政監督は「恩返しはやりきった」「ステージは一旦終わり」として退任した。フロントはもういい加減OBを都合よく使い潰すのはやめてほしい。岩政をじっくり育てたいのであれば昇格させずにコーチのまま置いておけばよかったし、クラブが費用を出して海外で勉強させてきてもいい。新監督は国内でも海外でもいいが、まずはクラブの方向性を定めて、一貫性のある監督起用を求めたい。
後任はかつてJリーグでも指揮を取ったランコ・ポポヴィッチに決まった。Jリーグで結果を出せていないことや吉岡FDのコネクションの限界が垣間見える招聘であったことから前評判は低いが、決まった以上は応援するほかない。
東京ヴェルディで育成に関わっていた中後や引退したばかりのスンテなど、スタッフにOBが加わってくれたのは心強い。湘南ベルマーレでプレイし、昨シーズン限りで引退した山本脩斗がスカウトとしてクラブに戻ってくるなど明るい話題もあった。
選手動向まとめ
現時点での選手動向は以下のとおり。
OUT (完全移籍・引退)
GK クォン・スンテ ※引退
GK 沖 悠哉 ※完全移籍:清水エスパルス
DF 昌子 源 ※完全移籍:FC町田ゼルビア
DF 広瀬 陸斗 ※完全移籍:ヴィッセル神戸
DF キム・ミンテ ※完全移籍:湘南ベルマーレ
MF アルトゥール カイキ ※完全移籍:スポルチ・レシフェ(ブラジル)
MF ディエゴ ピトゥカ ※完全移籍:サントスFC(ブラジル)
MF 小川 優介 ※完全移籍:FC琉球
FW エレケ ※契約満了
OUT (レンタル)
DF 林 尚輝 ※1年レンタル(延長):東京ヴェルディ
MF 荒木 遼太郎 ※1年レンタル:FC東京
MF 中村 亮太朗 ※1年レンタル:清水エスパルス
FW 染野 唯月 ※1年レンタル(延長):東京ヴェルディ
IN (完全移籍・レンタルバック)
GK 山田 大樹 ※ファジアーノ岡山 (レンタルバック)
GK 梶川 裕嗣 ※ジュビロ磐田
DF ヨシプ チャルシッチ ※TSCバチュカ・トポラ(セルビア)
DF 濃野 公人 ※関西学院大学
DF 松本 遥翔 ※ユース(2種登録)
MF ギリェルメ パレジ ※CAタジェレス
FW 徳田 誉 ※ユース(2種登録)