【2022/1/11更新】
2021シーズンの鹿島アントラーズはリーグ4位、ルヴァンカップと天皇杯は準々決勝敗退だった。
ザーゴ体制の2年目はリーグ初戦で清水エスパルスに逆転負けからスタートした。以降は不安定な戦いが続き、ザーゴは途中解任。後任は鹿島のレジェンドである相馬が就任し、成績は上昇したが、無冠でシーズンを終えた。
リーグ戦が終わった翌日、相馬やコーチの退任が発表された。2022シーズンに向けて新監督レネ・ヴァイラーを招聘し、再び「新たな鹿島」を探し求めることになる。
ホーム最終戦後に三竿が「球際や切り替えなどの当たり前のことを徹底するだけでタイトルは取れない」と発言したことは大きい。
選手に多くを背負わせてしまった責任はフロントにもある。クラブは選手にしっかりと「新たな鹿島」のビジョンを示す必要がある。
この記事では2022シーズンに向けての鹿島アントラーズの選手動向をまとめた。
目次
GK ゴールキーパー
所属選手
GK 1 クォン・スンテ
GK 29 早川 友基
GK 31 沖 悠哉
GK 38 山田 大樹
ポイント
シーズン終盤に起こった正守護神の交代
2021シーズンも正ゴールキーパーは沖だった。
ザーゴ退任以降も継続して起用されていたが、五輪代表落選以降、不安定なプレーが垣間見えるようになり、シーズン終盤にはスンテがポジションを奪い返した。
出番を得たスンテは抜群の安定感を発揮し、評価を高めた。
ポジションを取り返したとはいえ、出場機会が限られたスンテが来季も残留してくれるのか、残留した場合は沖、スンテどちらがポジションを得るのかが注目もポイントだ。新監督のスタイルによってはキックに優れる沖がスタメンに返り咲く可能性は大いにある。
DF ディフェンダー
所属・加入選手
DF 2 安西 幸輝
DF 5 関川 郁万 ※背番号変更33→5
DF 15 ブエノ
DF 22 広瀬 陸斗
DF 23 林 尚輝
DF 32 常本 佳吾
DF 20 キム・ミンテ ※IN:コンサドーレ札幌から完全移籍
DF 28 溝口 修平 ※IN:鹿島ユースから昇格
DF 16 小田 逸稀 ※IN:ジェフユナイテッド市原・千葉にレンタル→復帰
レンタル移籍
DF 杉岡 大暉 ※OUT 湘南ベルマーレにレンタル中 →延長
DF 町田 浩樹 ※OUT ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ(ベルギー)にレンタル
完全移籍
DF 永戸 勝也 ※OUT:横浜F・マリノスに完全移籍
DF 犬飼 智也 ※OUT:浦和レッズに完全移籍
DF 奈良 竜樹 ※OUT:アビスパ福岡にレンタル→完全移籍
DF 佐々木 翔悟 ※OUT:いわてグルージャ盛岡にレンタル→ジェフユナイテッド市原・千葉に完全移籍
ポイント
センターバック:レギュラー2人の移籍
2021シーズンに激しいスタメン争いを繰り広げたのはセンターバックだ。
犬飼、町田コンピで盤石かと思われたが、大卒新人の林が台頭。五輪後には町田が覚醒し、信頼がおけるセンターバックになった。
シーズン途中でチームに復帰したブエノはポジションを得られず。シーズン終盤には犬飼の怪我でポジションを得た関川が活躍。関川、町田コンビで無失点試合を重ねてシーズンを終えた。
出番を減らした犬飼は浦和レッズに完全移籍が決まった。入れ替わるようにコンサドーレ札幌からキム・ミンテを完全移籍で獲得した(2021シーズン後半は名古屋グランパスにレンタルされていた)
町田はベルギーのロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズへレンタルでの移籍が決定。昨シーズンを支えたレギュラーセンターバックが2人ともチームを離れた。
ほとんど出番がなかったブエノ、アビスパ福岡にレンタルしていた奈良はそのまま完全移籍に移行。チームを去ることが決まった。
右サイドバック:常本が躍動、広瀬の去就は?
相馬監督就任後、一番の発見となったのが大卒新人の常本だ。切り替えのスピードや粘り強い守備で頭角を現した。
ほとんどの試合で常本がスタメン起用され、広瀬の出番は限られた。
J1でもレギュラークラスといえる広瀬が現状に満足しているとは思えず、移籍を望んでいてもおかしくない。
左サイドバック:安西の復帰と永戸の退団
2021シーズンは永戸がレギュラー、杉岡がバックアップとして起用されていた。
シーズン途中には杉岡が湘南ベルマーレにレンタル移籍、来シーズンも引き続き湘南でプレーすることとなった。
ポルティモネンセ(ポルトガル1部)から復帰した安西は完全にスタメン固定され、永戸は大幅に出番を減らした。広瀬と同様にレギュラー格である永戸がスタメンでプレイしたいと考えるのは当然で、同ポジションが手薄になった横浜F・マリノスへの完全移籍となった。
レンタル中の小田は鹿島への復帰が決定。佐々木は小田と入れ替えるようにジェフ千葉への完全移籍となった。なお、ユースから溝口の昇格が決まっている。
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MF ミッドフィルダー
所属・加入選手
MF 7 ファン・アラーノ
MF 8 土居 聖真
MF 10 荒木 遼太郎 ※背番号変更13→10
MF 11 和泉 竜司
MF 17 アルトゥール カイキ
MF 6 三竿 健斗 ※背番号変更20→6
MF 21 ディエゴ ピトゥカ
MF 24 小川 優介
MF 27 松村 優太
MF 34 舩橋 佑
MF 33 仲間 隼斗 ※IN:柏レイソルから完全移籍
MF 14 樋口 雄太 ※IN:サガン鳥栖から完全移籍
MF 35 中村 亮太朗 ※IN:ヴァンフォーレ甲府から完全移籍
MF 30 名古 新太郎 ※IN:湘南ベルマーレにレンタル→復帰
レンタル移籍
MF 須藤 直輝 ※OUT ツエーゲン金沢にレンタル
完全移籍
MF レオ・シルバ ※OUT 名古屋グランパスに完全移籍
MF 永木 亮太 ※OUT 湘南ベルマーレに完全移籍
MF 遠藤 康 ※OUTベガルタ仙台に完全移籍
MF 白崎 凌兵 ※OUT サガン鳥栖にレンタル→清水エスパルスに完全移籍
ポイント
ボランチ:ピトゥカ&三竿は盤石、出番を失ったレオ・シルバと永木は移籍へ
2021シーズン序盤はスランプ気味だった三竿は徐々に復調。再びボールハンターとしての実力を見せつけている。オフェンス面でも積極的な縦パス、ミドルシュートにもトライしており、プレイヤーとしてもう1段階レベルアップしようと試みている。
ピトゥカは今シーズン最大のサプライズだった。合流が遅れていなければザーゴ体制の復調もあり得たのではないかと思うほどの実力者で、パス精度やボールを運ぶ力、チームを引っ張るプレーは目を見張るものがある。
三竿とピトゥカがファーストチョイスになった結果、レオ・シルバと永木は出番を失った。レオ・シルバは名古屋への移籍を決断。ベンチにも入れない時期が続いた永木も湘南へ移籍。レギュラークラスの2人がクラブを去った。
船橋はザーゴ体制で少し出番を得たが、相馬体制になって出番を失った。縦パスを通せるプレイヤーであり、成長を促すためにレンタルに出すのも一手だろう。
湘南ベルマーレにレンタル中の名古は来シーズン鹿島に復帰する。怪我で長期離脱中であり、復帰はシーズンスタート後になりそうだ。
新加入選手としては鳥栖から樋口、ヴァンフォーレ甲府から中村を完全移籍で獲得した。
サイドハーフ:欠かせないアラーノ、怪我がちの和泉
ファン・アラーノは2021シーズンも主力として活躍。プレーの粗さを帳消しにするほど、抜群の切り替えで、重要な存在だった。
和泉はレギュラーとしてプレイする時間が長かったが、怪我で試合を離れる時期も多く盤石とは言えなかった。
ピトゥカと同じく合流が遅れたカイキはチームにフィットすると得点力を発揮、身体の使い方も上手く、前線でもボールの落ち着きどころになった。
松村はスピードを生かしたプレーで、一時期スーパーサブ~スタメン扱いされていたが、シーズン終盤ではベンチ外が多かった(怪我との報道もあり)
今シーズンも困ったら遠藤を起用する流れは健在だった。しかし、出場時間は少なく、J2に降格したベガルタ仙台へ完全移籍。15年間鹿島でプレーしたベテランがチームを去った。
白崎は2021シーズン後半、サガン鳥栖にレンタルされていた。結局は鹿島に戻らず、古巣である清水エスパルスへの完全移籍が決まった。身長があり、インテリジェンスを感じる選手だっただけに、もっと鹿島で輝く姿が見たかった。
新戦力としては柏から仲間を完全移籍で獲得した。
トップ下:スーパーな荒木と安定の土居
荒木は高卒2年目の今季も大活躍だった。10代として2人目のリーグ10得点を達成し、ベストヤングプレイヤー賞を獲得。日本代表にも選出された。狭いスペースでもボールを受けて反転できる荒木はチームに欠かせない選手となった。
海外移籍もありえるなかで、残留。背番号は10に変わり、名実ともにチームの中心メンバーとしての活躍に期待がかかる。
土居は今シーズンも変わらず、リンクマンとしての役割を果たした。プレイスタイルから批判を集める時期もあったが、鹿島に欠かせない選手であることは変わらない。
FW フォワード
所属選手
FW 9 エヴェラウド
FW 18 上田 綺世
FW 19 染野 唯月
FW 40 鈴木 優磨 ※IN:シント=トロイデンVVVから完全移籍
レンタル移籍
FW 垣田 裕暉 ※OUT 徳島ヴォルティスにレンタル→サガン鳥栖にレンタル
完全移籍
FW 有馬 幸太郎 ※OUT 栃木SCにレンタル→いわきFCに完全移籍
ポイント
レギュラー格は残留
エヴェラウドの大ブレーキは想定外だった。去シーズンのリーグでは18ゴールだったが、今シーズンは1ゴールに終わった。
コンディション不良から状態が戻らず、プレーには焦りも見えた。
ブラジル復帰の噂も出ていたが、2022シーズンの登録メンバーに含まれた。
上田は完全に鹿島とエースストライカーとして君臨。リーグでは14ゴールを決め、日本代表にも選出され、チームの顔になった。
海外移籍の可能性もあったが、残留濃厚だ。
染野は怪我もあり、シーズン中盤以降はほぼ出番がなかった。柔らかいプレーで中盤と小気味よいパスからチャンスを生み出せる選手であり、来シーズンはさらなる活躍を期待したい。
徳島ヴォルティスにレンタルしていた垣田は来シーズン、サガン鳥栖へのレンタル移籍が決定。セレッソ大阪への完全移籍も噂されたが、引き続き鹿島に籍を置きながらプレーすることになった。
栃木SCに2年間レンタルされていた有馬はJ3に昇格したいわきFCへの完全移籍が発表された。
ビッグサプライズ!鈴木優磨の帰還
鹿島を巣立っていった鈴木優磨の復帰は移籍市場を賑わせた。
20-21シーズンにはベルギー1部リーグで17ゴールを決め、ステップアップ確実と目されていたが、移籍は成立せず、シント=トロイデンVVVに残留した。
ウィンターブレイクで再び移籍の可能性を探るかと思われたが、まさか鹿島に復帰すると予想できなかった。
今シーズンは鹿島の大レジェンド小笠原満男の背番号40を背負い、大いに鹿島を引っ張ってくれるだろう。
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スタッフ
主な所属スタッフ
監督 レネ・ヴァイラー
コーチ ドラガン ムルジャ
コーチ 岩政 大樹
フィジカルコーチ マヌエル クレクラー (里内さんは留任?)
テクニカルスタッフ 有江 卓
GKコーチ 佐藤 洋平
GKアシスタントコーチ 曽ヶ端 準
新監督はクラブ初の欧州出身・レネ・ヴァイラー
ザーゴから引き継いた相馬も退任、コーチも退任となった。
新監督は今までの日本・ブラジル縛りから一転、欧州からスイス人監督のレネ・ヴァイラーを招聘。
RSCアンデルレヒト(ベルギー)、アル・アハリ(エジプト)では優勝経験もあり、勝利の味を知る監督だ。
コーチとして戻ってきた岩政大樹
クラブOBの岩政がコーチとして入閣したのは驚きだった。
解説を担当した試合を見ても事象を言語化するのに長けた印象があり、コーチとしての活躍も期待したい。
大宮アルディージャでの活躍が記憶に残るムルジャもコーチに就任しており、馴染みのあるコーチ陣となった。
時代の終焉・鈴木満FDの退任
鈴木満FDの退任はシーズン終了後の一番大きなトピックと言っても良いほど、大きなニュースだった。鹿島に20冠をもたらした偉大な強化部長・FDであり、鹿島の歴史はジーコと鈴木の歴史でもあった。本当に長い間お疲れ様でした。引き続きアドバイザーとして、クラブには残る。
後任のFDには吉岡宗重が就任した。鹿島の情報を追っている方であればすでに知った名前だ。以前から鈴木とともに強化を担当してきた人物であり、移行はスムーズに行われるだろう。
選手動向まとめ
現時点【2022/1/11更新】での選手動向は以下のとおり。
OUT (完全移籍・引退)
DF 永戸 勝也 (横浜F・マリノス)
DF 犬飼 智也 (浦和レッズ)
DF 奈良 竜樹 (アビスパ福岡)
DF 佐々木 翔悟 (ジェフユナイテッド市原・千葉)
MF レオ・シルバ (名古屋グランパス)
MF 永木 亮太 (湘南ベルマーレ)
MF 遠藤 康 (ベガルタ仙台)
MF 白崎 凌兵 (清水エスパルス)
FW 有馬 幸太郎 (いわきFC)
OUT (レンタル)
DF 杉岡 大暉 (湘南ベルマーレ)※延長
MF 須藤 直輝 (ツエーゲン金沢)
FW 垣田 裕暉 (サガン鳥栖)
IN (完全移籍・復帰)
DF キム・ミンテ (北海道コンサドーレ札幌)※完全移籍
DF 溝口 修平 (鹿島ユース)
DF 小田 逸稀 (ジェフユナイテッド市原・千葉)※レンタルから復帰
MF 仲間 隼斗 (柏レイソル)※完全移籍
MF 樋口 雄太 (サガン鳥栖)※完全移籍
MF 中村 亮太朗 (ヴァンフォーレ甲府)※完全移籍
MF 名古 新太郎 (湘南ベルマーレ)※レンタルから復帰
FW 鈴木 優磨 (シント=トロイデンVVV)※完全移籍
レネ・ヴァイラー監督を招聘し、再び「新しい鹿島」を目指す2022シーズン。監督も求める選手編成を行い、リーグ奪還をする戦いを見せて欲しい。